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伝統の未来

企画趣旨

日本デザインコミッティーは、日本の伝統文化を未来の資源として見据え「伝統の未来」展を開催します。世界からの訪日者数が増え続ける中、産業の軸足が日本の再発掘へと動いています。この機をとらえて日本に潜在する価値の水脈を見つめ直し、日本の新たなヴィジョンをものづくりから展望してみたいと考えます。

日本の観光資源は、気候/風土/文化/食、です。海に囲まれた列島で、国土の大半は山林に覆われ、いたるところに温泉が湧出し、一千数百年ひとつの国であり続けたことによる独創的な文化が今日にも息づいています。この国には洗練されたもてなしや、世界に影響を与えてやまない食文化があります。ハイテクノロジーや都市の賑わい、安全性など、世界の人々の来訪を迎える資源はすでに揃っています。

しかし、発注者の減少により伝統工芸は、使用の文脈から逸脱した鑑賞物へと移行し始めています。自然へのアクセスも整備の途上です。戦後70年、国土を「工場」のように用いてきた習慣上、街並みや自然景観を「資源」と考える発想が不足していました。

発足当初より日本の文化の本質を見つめていくことを標榜してきた日本デザインコミッティーは、今日の伝統工芸の実力とその可能性を見据えてみたいと考えます。ここでは、その諸相を、コミッティメンバーの専門性を基軸に今一度見渡し、未来に何が準備できているかを探ります。木工、金工、酒、漆器、陶磁器、刃物、紙、染織、建築などを独特の視点で取材し、その様相を展観します。一方で、伝統工芸の総合的な発露のステージとして「旅館」を取り上げます。文化を総合するものとしての旅館は、日本の未来を見つめる上で、示唆に富んだものと考えられます。

テクノロジーと伝統を融合し、美意識を時代の先端と掛け合わせることで何が見えてくるのか。2016年の1月から順次開催してきたデザインギャラリー展「伝統の未来」のシリーズをここで完結させます。 「価値」はどこに生まれるのか、いま一度この企画を通して確認できれば幸です。

「伝統の未来」展 コミッショナー:原 研哉

展覧会アーカイブ

日本デザインコミッティー2016年度企画展「伝統の未来 The Future of Japanese Tradition」は、2016年9月28日から10月3日まで開催されました。

開催概略

タイトル
日本デザインコミッティー 2016年度企画展
「伝統の未来 The Future of Japanese Tradition」
会期
2016年9月28日│水│─ 10月3日│月│
午前10時〜午後8時まで。28日初日は、
午後6時閉場、最終日午後5時閉場(入場は閉場の30分前まで)
会場
松屋銀座8階イベントスクエア
〒104-8130東京都中央区銀座3-6-1
 電話03-3567-1211(大代表)
主催
日本デザインコミッティー
監修
木工=三谷龍二 竹工芸=原 研哉 
金工=川上元美 日本酒=松永 真 漆=小泉 誠 
刃物=柴田文江 和紙=佐藤晃一 
陶磁器=小泉 誠 染織=須藤玲子 
建築=隈 研吾 
旅館=永井一史
協力
板垣元彬、井ノ上みのり、岩本忠美、
ウェスティン都ホテル京都、内田鋼一、榎本 徹、

及源鋳造株式会社、大阪錫器株式会社、大橋正芳、
奥村靫正、小田寛孝、株式会社開化堂、
隱崎隆一、
雅叙苑、金網つじ、株式会社KANAYA、金重有邦、
かみ添、川合 優、空間鋳造、

隈研吾建築都市設計事務所、Craft planning、
言美 歩、佐伯泰英、坂田和實、佐久間年春、

三条市、下谷二助、新建築社写真部、
菅原工芸硝子、有限会社清課堂、多比良敏雄、

高岡市デザイン・工芸センター、
株式会社タカタレムノス、株式会社竹尾、
鋳心ノ工房、
鶴岡織物工業協同組合、鶴の湯、
徳倉建設、富山県総合デザインセンター 、
永井裕明、
株式会社中島工務店、仲條正義、
日本デザインセンター 原デザイン研究所、
株式会社能作、
白山陶器株式会社、
株式会社八勝館、服部一成、馬場由紀子、
株式会社フォームレディ、
株式会社福光屋、
株式会社フジイ、株式会社二上、べにや無何有、
庖丁工房タダフサ、
細野光男、前田大作、
株式会社マルト長谷川工作所、丸美工藝株式会社、
株式会社水澤工務店、
民谷織物、
安田織物株式会社、矢萩春恵、矢部俊一、
株式会社山田写真製版所、

吉田五十八記念芸術振興財団、
株式会社リラインス、ロンドンギャラリー、WASARA、
輪島キリモト、渡辺義雄 (五十音順)
コミッショナー
原 研哉
会場構成
隈 研吾
解説主文
橋本麻里
撮影・webデザイン
日本デザインセンター

デザインギャラリー1953で展開した「伝統の未来」│01│〜│08│まで

  • │01│木工「針葉樹の可能性」 監修:三谷龍二
  • │02│日本酒「10人のグラフィックデザイナーに
    よる日本酒ポスター展」 監修:松永真
  • │03│会津「めぐみある風景 ─ 会津木綿・
    会津漆器」 監修:須藤玲子(※)
  • │04│建築「風呂の中のモダン」 監修:隈研吾
  • │05│和紙「和紙の森めぐり」 監修:佐藤晃一
  • │06│漆「漆+素材=性能」 監修:小泉誠
  • │07│旅館「もてなしのかたち」 監修:永井一史
  • │08│刃物「刃物のカタチ」 監修:柴田文江

※ |03|会津「めぐみある風景—会津木綿・会津漆器」で展示した作品は、再構成の結果、8階会場では一部のみの展示となります。
 なお、その他の会期の展示についても編集が加えられております。7階の内容とはまったく同一ではないことを注記いたします。

トークショー

展覧会期間中、メンバーを中心とした関係者によるトークショーが開催されました。

2016年9月28日│水│
15:30〜16:30 
テーマ:針葉樹 三谷龍二|川合 優、前田大作
17:00〜18:00 
テーマ:旅館 原 研哉|佐藤和志、田島悦子、中道幸子
2016年9月30日│金│
18:00〜19:00 
テーマ:漆 小泉 誠|桐本泰一
2016年10月1日│土│
15:30〜16:30 
テーマ:刃物 柴田文江|三条市
17:00〜18:00 
テーマ:日本酒 服部一成|仲條正義
2016年10月2日│日│
14:00〜15:00 
テーマ:古灯器 原 研哉|面出 薫
15:30〜16:30 
テーマ:旅館と金工 川上元美|永井一史
17:00〜18:00 
テーマ:伝統の未来 原 研哉|田川欣哉