私の出会ったart&designの本

2010年3月に開催された、第664回デザインギャラリー1953企画展のアーカイブ。
コミッティーメンバーが選んだ「影響を受けた3冊」に、テキストを添えてご紹介します。
多くの人たちの本と親しむきっかけとなれば幸いです。

黒川雅之ポートレート
黒川雅之|建築家/プロダクトデザイナー

名古屋工業大学、早稲田大学理工科大学院、博士課程を修了。建築設計から工業化建築、プロダクトデザイン、インテリアデザインと広い領域を総合的に考える立場をとり続けている。現在ではそれらを総合する理論として「物学」を主張して物学研究会(www.k-system.net/butsugaku/)を主宰し、デザイナーの創造活動を支援するウェブサイトとしてデザイントープ(www.designtope.net)をも運営して、創作活動だけではなく、国際デザインコンペの主催等のデザイナー支援の活動をもしている。そして、2007年4月には株式会社K(www.k-shop.net)を設立して自分のデザインした作品を中心に製造するプロダクションを開始した。これによって「創作の場としての黒川雅之建築設計事務所」と「情報システムとしてのデザイントープ」と「交流と研究の場としての物学研究会」と「製造と販売の場としての株式会社K」のリンクし合う四つの組織のKシステムが完成した。金沢美術工芸大学大学院教授、復旦大学上海視覚芸術学院客員教授。

本を咀嚼して粉々にしよう

「僕はこれまで多くの本に目を開かされ学んできましたが、「目から鱗」の3冊の本は選べませんでした。 僕にとって本は食事のようなもので食べた後、僕の中に生まれた衝撃や幸福や危機感などが僕の思想や美意識となって残り、その本自体は咀嚼されて粉々になります。
そしてもう一つ、本というものはその人との出会いが大切で僕が感動したからと言ってだれでも感動することはないのではないでしょうか?
本は自分の力で数百万冊の中から探すべきです。
簡単に探そうとしてはいけない・・・。
人間にとって文字は思想を成長させる大きな力になっています。文字がなければこんなに人類の文化は成長しなかったでしょう。
ART&DESIGNだからって僕の場合は映像より文字です。文字で整理されることで僕の中に生まれてきたものが大切なのです。
僕は本を読んでもそれを書いた人の思想は語れません。僕の思想を刺激してくれて僕の中に僕の思想が生まれるだけです。

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